固定資産税の基本を詳しく解説

固定資産税とは、土地や家屋(建物)、償却資産(事業用の機械や備品など)といった「固定資産」を所有している人に毎年かかる地方税です。
毎年1月1日時点での所有者が、その資産の所在地を管轄する市町村(東京23区の場合は東京都)に納税する仕組みになっています。

マイホームを持っている人はもちろん、土地を相続した人や、将来不動産を購入しようと考えている人にとっても、固定資産税は避けて通れない税金です。金額や仕組みをよく知らないまま所有していると、「思ったより高い」「毎年こんなにかかるの?」と感じることも少なくありません。

この記事では、固定資産税の中でも「不動産に関わる部分(土地・建物)」に絞って、基本的な考え方やポイントをわかりやすく説明していきます。

■固定資産税は誰にかかるもの?

固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を所有している人に課税されます。
この「所有している人」というのは、原則として不動産登記簿や固定資産課税台帳に所有者として登録されている人を指します。

たとえば、年の途中で不動産を売買した場合でも、その年の固定資産税の納税義務者は、1月1日時点の所有者です。
「4月に売ったから、もう自分には関係ない」と思いがちですが、法律上はそうではありません。実務では売主・買主の間で日割り清算することが多いものの、あくまでそれは当事者間の取り決めであり、市区町村が納税を求める相手は変わりません。

また、住宅ローンを組んで家を購入している場合でも、ローンを返済中だから銀行のものという扱いにはならず、固定資産税は購入者本人にかかります。金融機関はあくまで抵当権者であり、所有者ではないためです。

さらに、相続が発生していて名義変更(相続登記)が済んでいない場合でも、固定資産税の納税通知書は、原則として登記上の所有者(被相続人)宛てに送られます。その場合、実際の納税義務は相続人が引き継ぐことになります。

このように、固定資産税は「実際に住んでいる人」や「使っている人」ではなく、法律上の所有者を基準に課税される税金だという点が大きなポイントです。

■固定資産税の税額はどうやって決まる?

固定資産税の税額は、不動産の売買価格(いくらで買ったか)では決まりません。
基本となるのは、市町村(東京23区は東京都)が決める固定資産税評価額です。

税額の計算は、シンプルに言うと次の流れになります。

固定資産税評価額 × 税率(原則1.4%)

この「評価額」は、毎年変わるものではなく、原則3年に1度の評価替えによって見直されます。
そのため、実際の市場価格が大きく動いても、固定資産税がすぐに連動して上下するわけではありません。

売買価格に関係あるの?

結論から言うと、直接は関係ありません。

たとえば
・高値で購入したのに、思ったより固定資産税が安い
・安く買えた中古住宅なのに、税額がそこそこ高い

こういったケースは珍しくありません。
これは、固定資産税評価額が市場価格の目安(一般的に7割程度)を基準に、土地の形状や利用状況、建物の構造や築年数などを加味して算出されているからです。

広い土地や高級住宅街だと、必ず高くなる?

「広い」「高級住宅街」という理由だけで、必ず高くなるわけではありません。

確かに、
・土地が広い
・地価が高いエリア

であれば、評価額が高くなりやすいのは事実です。
ただし、固定資産税は単純な面積やイメージでは決まりません。

たとえば土地の場合、
・間口が狭い
・奥行きが長すぎる
・不整形地
・道路との接し方が悪い

といった条件があると、評価額が下がることもあります。

また、住宅用地には固定資産税の軽減措置があり、
実際の評価額よりも大幅に税負担が軽くなるケースも多いです。
そのため、「高級住宅街=税金が異常に高い」と一概には言えません。

■固定資産税が不安な人こそ知っておきたい「住宅用地の軽減措置」

「家を買うと、毎年ずっと高い固定資産税を払い続ける」
そう思って住宅購入を躊躇する人は少なくありません。
ただし、実際には住宅が建っている土地には、固定資産税が大きく軽減される制度があります。

土地の固定資産税は、そのままの評価額ではない

住宅が建っている土地(住宅用地)は、以下のように区分されます。

●小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
→ 評価額の 6分の1 に軽減
●一般住宅用地(200㎡を超える部分)
→ 評価額の 3分の1 に軽減

つまり、たとえば200㎡までの土地であれば、
「評価額そのまま × 1.4%」ではなく、
評価額を6分の1にしたうえで税率がかかる、ということです。

仮に土地の評価額が3,000万円だった場合、

●軽減なし:
3,000万円 × 1.4% = 年42万円
●小規模住宅用地(200㎡以内):
3,000万円 ÷ 6 × 1.4% = 年7万円

住宅が建っているだけで、これだけの差があります。

建物にも軽減措置がある(新築住宅の場合)

さらに、新築住宅には建物部分の固定資産税が軽減される制度もあります。

●新築の一般住宅:3年間、建物の固定資産税が2分の1
●新築の長期優良住宅:*年間、2分の1
※土地ではなく、建物部分のみの軽減です。

「買った直後が一番きつい」という心理的ハードルを、ちゃんと下げる仕組みになっています。

■固定資産税はどうやって通知されるの?

毎年春ごろ(多くの自治体では 4月〜6月)に、市町村(東京23区は東京都)から「固定資産税・都市計画税 納税通知書」が郵送で届きます。

この通知書には、

●土地・建物ごとの評価額
●課税標準額
●年間の税額
●納期限

などがまとめて記載されています。

■支払い方法は?一括?分割?

固定資産税は、年1回まとめて払うことも、年4回に分けて払うことも可能です。

一般的には、
●第1期
●第2期
●第3期
●第4期

の 年4回払い が標準となっていて、納税通知書には、各期ごとの納付書が同封されています。

●コンビニ
●銀行・郵便局
●口座振替
などで手軽に支払えます。

最近は自治体によって、

●クレジットカード
●スマホ決済
に対応しているところも増えてきています。

うっかり忘れたらどうなる?

期限を過ぎると、延滞金が発生します。
額は大きくないことが多いですが、放置すると督促状が届きます。

「いきなり財産を差し押さえられる」ということはありません。
焦らず、早めに自治体に連絡すれば対応してもらえます。

引っ越しても届く?住所変わったら?

納税通知書は、登記上の所有者の住所に送られます。
引っ越し後に届かない、というケースもたまにあるから、住所が変わったら市町村に届け出るのが無難でしょう。

「今は住んでないから、届かなかったから払わなくていい」にはなりませんので、注意してください。

■固定資産税を払えなかった場合の対応

固定資産税の納期限を過ぎると、まず延滞金が発生します。
延滞金は期限の翌日から日割りで加算されますが、短期間で高額になるケースは多くありません。

納付が確認できない場合、市町村(東京23区は東京都)から督促状が送付されます。この時点で重要なのは、未納の状態を放置しないことです。

なお、納期限を過ぎたという理由だけで、直ちに財産の差押えが行われることは通常ありません。

一時的な資金繰りの都合や、納付忘れなどの事情がある場合、多くの自治体では分割納付や納付期限に関する相談に応じています。
支払いが難しいと感じた時点で、早めに自治体へ連絡することが現実的な対応となります。

長期滞納した場合のリスク

延滞が長期間にわたり、督促や催告に対しても何ら対応がなされない場合には、
最終的に預金や不動産等の差押えに進む可能性があります。

ただしこれは、「一時的に支払えなかった」ケースではなく納付の意思が確認できない状態が継続した場合です。

通常の取引や生活の中で、適切に連絡・相談を行っていれば、いきなり強制的な措置が取られることはほとんどありません。

固定資産税は、リスクを理解し、事前に対応策を把握しておけば、過度に不安視する必要のない税金です。

■固定資産の状況を変えたらどうなる?

固定資産税は、1月1日時点の土地・建物の状況を基準に課税されます。
そのため、建物を増築したり、取り壊して駐車場にするなど、利用状況や形状を変更した場合は、原則として税額に影響が出ます。

たとえば、

● 無届けで増築を行った
●建物を解体して更地や駐車場にした
●農地を宅地として利用している

といったケースでは、本来の状況と課税内容が一致しなくなる可能性があります。

市町村では、固定資産の現況把握のために、航空写真(セスナ等による上空撮影)や画像解析を活用して調査を行っています。
1月1日時点の土地・建物の状況を調べる為に元旦から航空機が上空を往復しているのは、そのためです。
「届け出ていないから分からないだろう」という前提は通用しません。

現況と課税内容に差異が確認された場合、評価の見直しや課税内容の変更が行われ、状況によっては過去分にさかのぼって課税されることもあります。

■相続した不動産の注意点

不動産を相続した場合でも、固定資産税の扱いは変わりません。
相続が発生した時点ではなく、1月1日時点の所有者を基準に課税されます。

相続登記が完了していない場合、納税通知書は引き続き被相続人名義で届くことがありますが、実際の納税義務は相続人が引き継ぐことになります。
亡くなったからといって納税義務もなくなったわけではありません。

また、相続後に次のようなケースには注意が必要です。

●建物が空き家のままになっている
●老朽化した建物を放置している
●解体して更地にした

特に、建物を取り壊して更地にすると、住宅用地の軽減措置が外れ、土地の固定資産税が上がることがあります。

■まとめ 固定資産税は「知らずに怖がる」より「理解して管理する」

固定資産税は、土地や建物を所有する以上、避けて通れないコストです。
ただし、その仕組みや軽減措置、実務上のルールを把握していれば、過度に不安視する必要はありません。

本記事のポイントを整理すると、以下のとおりです。

  • 固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税される
  • 税額は売買価格ではなく、固定資産税評価額を基準に決まる
  • 住宅用地や新築住宅には、負担を大きく軽減する制度がある
  • 納税通知は毎年春に届き、分割納付も可能
  • 支払いが難しい場合でも、早期に自治体へ相談すれば対応余地がある
  • 増築・解体・用途変更・相続など、状況が変われば税額も変わる

固定資産税は、「知らなかった」ことで想定外の負担やトラブルにつながりやすい一方、事前に把握しておけば、十分にコントロール可能なコストでもあります。

住宅購入や相続、不動産の活用を検討する際は、税金も含めたトータルコストを冷静に整理したうえで判断することが、長期的に見て最も合理的な選択につながります。