
無理なローンは組みたくないし、失敗もしたくない。いくらか自己資金を入れることで、少しでも毎月の返済を楽にしたい…慎重に考えているからこそ出てくる、ごく自然な判断です。
ただ一方で、不動産の現場にいると“頭金を貯めている3年間”そのものが、実は大きなリスクになっている…そんなケースも少なくありません。
多くの人は「3年あれば状況は良くなる」「お金も貯まるし、条件も整う」と考えます。
けれど現実は、必ずしもそうとは限らないのです。
金利、物件価格、住宅ローンの条件、保険、健康状態…。
これらは時間が経てば自動的に良くなるものではなく、むしろ変化してしまうものです。
しかも、その変化は自分でコントロールできないことがほとんど。
「今はまだ不安だから」
「もう少し貯めてから」
そうやって判断を先延ばしにした結果、3年後も同じ不安を抱えたまま、さらに条件が厳しくなってしまう人もいます。
頭金を貯めること自体が悪いわけではありません。
ただし、“待つこと=安心”だと思い込んでしまうのは危険です。
このコラムでは、「今すぐ買うべきか」「待つべきか」という二択ではなく、
時間が経つことで何が変わるのかを、ひとつずつ整理していきます。
住宅ローンは「年齢」で決まる
住宅ローンを考えるとき、多くの人が「年収はいくらか」「頭金はいくら用意できるか」に目を向けます。
もちろん大事なポイントですが、実はそれ以上に重要なのが「年齢」です。
住宅ローンは、基本的に「何歳までに完済できるか」を前提に設計されています。
そのため、たった1歳違うだけでも借りられる期間や金額が変わることは珍しくありません。
特に20代〜30代前半は、住宅ローンにおいては大きな強みがあります。
返済期間を最長まで取れるため、
同じ金額を借りても毎月の返済額を抑えることができるからです。
「若いうちは収入が少ないから不安」
そう感じる人も多いですが、
実際には返済期間を長く取れる分、月々の負担は軽くなるケースも多いのです。
そして早く組めば、その分、早く返済が進みます。
一方で、年齢を重ねるほど
・借入期間が短くなる
・借入額が抑えられる
・フルローンが組みにくくなる
といった制約が増えていきます。
つまり、住宅ローンにおいて年齢は「若いほど不利」なのではなく、若いほど選択肢が多い。
これは、意外と知られていない現実です。
「もう少し貯めてから」
「もう少し落ち着いてから」
そうしている間に、知らないうちにこの“年齢という武器”を使えなくなってしまうこともあります。
健康状態や年収は年齢が上がっても好転することはありますが、年齢だけは絶対に戻れません。
次の章では、40代以上になると住宅ローンがどう変わるのか、そして「1年後」が今と同じとは限らない理由について、
もう少し踏み込んでお話しします。
40代以上の「1年後」は、今とは別物― 来年、同じ条件で借りられる保証はありません。
住宅ローンは、年齢が上がるにつれて選択肢が静かに、でも確実に減っていきます。
40代になると、「今はまだ大丈夫」「来年でも変わらないだろう」と思いたくなる気持ちもわかります。
けれど、住宅ローンの世界では1年の違いが、そのまま条件の違いになることが少なくありません。
まず大きく変わるのが、返済期間です。
完済年齢の上限が決まっている以上、年齢が1歳上がるごとに、借りられる期間は短くなります。
返済期間が短くなるとどうなるか。
同じ金額を借りても、毎月の返済額は確実に重くなります。
また、年齢が上がるにつれて
・フルローンが組めない
・頭金を求められる
・希望額まで借りられない
といったケースも増えていきます。
「頭金を貯めてから」と考えていたのに、いざ数年後に動こうとしたら
頭金+月々の返済額、両方が重くなる、そんな本末転倒な状況になることも、実際にあります。
さらに厄介なのが、「来年、そもそも組めるかどうか」という問題です。
健康状態、勤務状況、収入の変化。
今は問題がなくても、将来も同じ条件が続くとは限りません。
住宅ローンは、条件が少し変わるだけで「借りられる」から「借りられない」に一気に振れる世界です。
40代以上の住宅購入でよくあるのが、
「もう少し考えてから」
「今年は忙しいから来年」
そうしている間に、選べたはずの選択肢が消えてしまうケースです。
待つこと自体が悪いわけではありません。
ただ、40代以降においては時間は味方ではなく、条件を厳しくする要因になりやすい
という現実は、知っておいてほしいと思います。
次の章では、
「若いうちに買うと身動きが取れなくなる」という誤解について、
実はその逆だという話をしていきます。
頭金を貯めたとしたら…?
実際に「頭金を貯める」ことを選んだら、いくら違うのか考えてみましょう。
たとえば、3年間、毎月5万円ずつ貯金したとします。
5万円 × 36か月 = 180万円
かなり頑張って貯めた数字だと思います。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
仮に
・物件価格:4,000万円
・諸費用 :300万円
合計 4,300万円が購入総費用と想定すると、
3年間コツコツ貯めた180万円は、総額の中ではごく一部にすぎません。
しかもその3年間、もし家賃が月8万円だった場合、
8万円 × 36か月 = 288万円
●頭金として180万円を貯める一方で、家賃として約300万円を支払っている、
ということになります。
「頭金を貯めてから買ったつもりが、実際には家賃でそれ以上のお金が出ていっている」
これは、決して珍しい話ではありません。
さらに見落とされがちなのが、その3年の間に条件が変わってしまう可能性です。
・金利が少し上がる
・年齢が上がり、返済期間が短くなる
・フルローンが組めなくなる
たとえば返済期間が短くなるだけで、同じ4,000万円を借りても毎月の返済額は数万円単位で変わることがあります。
つまり、
「毎月5万円を貯めた安心感」より、
「毎月の返済額が上がる影響」の方が
家計にとっては重くなるケースもあるのです。
頭金を貯めること自体が悪いわけではありません。
ただ、3年かけて貯めた180万円と引き換えに、何を失っている可能性があるのか
ここは一度、冷静に考えてみてほしいポイントです。
更に、この状況を実際の住宅ローンとして試算してみましょう。
・物件価格:4,000万円
・諸費用 :300万円
・金利:1.0%
・返済期間:35年
※ここでは分かりやすく、借入金額は物件価格4,000万円分で比較します。
頭金を入れない場合(フルローン)
借入額:4,000万円
金利1.0%・35年返済の場合
毎月の返済額:約11万3,000円
3年間で180万円を頭金に入れた場合
借入額:3,820万円
(金利・期間は同じ)
毎月の返済額:約10万8,000円
差額は?
毎月の差は、約5,000円
3年間、毎月5万円を貯金してようやく生まれる差が、月々5,000円前後です。
一方でその3年間、家賃を払い続けているとしたらどうでしょう。
たとえば家賃8万円なら
8万円 × 36か月 = 約288万円
頭金として180万円を用意するためにそれ以上の家賃を支払い続けている、
という計算になります。
ここで考えてほしいこと
・毎月5,000円返済を軽くするために
・3年という時間を使う価値があるのか
・その3年で、年齢・金利・条件は変わらないのか
住宅ローンは、数千万円の借金として見ると怖くなりますが、実際には「毎月いくら払うか」の固定費です。
その固定費が
・今の家賃と比べてどうか
・将来、重くなりすぎないか
ここを基準に考えた方が、現実的な判断がしやすくなります。
若いうちに買う=身動きが取れなくなる?― 実は「住み替えしやすくなる」理由
「早く家を買ったら、動けなくなるのでは?」これは、とてもよく聞く不安です。
転勤があるかもしれない。子どもが増えて、今の家が手狭になるかもしれない。
将来のことを考えるほど、決断が難しくなります。
けれど実際の現場では、若いうちに購入した人の方が、住み替えのハードルが低い
というケースを多く見てきました。
理由はとてもシンプルです。
早く住宅ローンを組めば、その分、早く返済が進むからです。
たとえば20代後半や30代前半で住宅を購入した場合、
数年住んだだけでも、ローン残高は着実に減っていきます。
この「残債が減っている」という状態が、住み替えのしやすさを大きく左右します。
子どもが増えた。
通勤や通学の環境を変えたくなった。
親の近くに住む必要が出てきた。
人生の中では、住まいを見直すタイミングが必ず訪れます。
そのとき、売却してもローンが大きく残らない状態であれば、次の住まいへの移行は、精神的にも金銭的にも楽です。
お子様が巣立った後に、よりコンパクトなマンションへ住み替える際、住宅ローンを完済していれば、売却時に手元に資金が残り、
その後の暮らしの安心につながるケースもあります。
一方で、購入を先送りした結果、40代で住宅を購入するとどうなるでしょうか。
返済期間は短くなり、月々の返済額は重くなります。
そして、いざ住み替えを考えたとき、思ったほど残債が減っていない…というケースも少なくありません。
「早く買う=縛られる」
そう思われがちですが、実際には早く買うほど、将来の選択肢が増える
という一面があります。
住まいは、一度買ったら終わりではありません。
人生のステージに合わせて、形を変えていくものです。
若いうちに住宅ローンをスタートさせることは、
将来の自由度を失うことではなく、むしろ確保することにつながるそんな考え方も、ぜひ知っておいてほしいと思います。
時間とともに増えるリスク― 金利・健康・保険・建築コスト
「今はまだ買わない」という選択は、何もしないようでいて、実はさまざまな前提が“このまま変わらない”ことを期待する判断でもあります。
けれど、住宅購入を取り巻く環境は、時間が経つほど静かに変化していきます。
まず大きいのが、金利です。
わずかな上昇でも、住宅ローンの総返済額には大きく影響します。
たとえ0.5%の違いでも、35年という長い期間では、数百万円単位の差になることもあります。
次に見落とされがちなのが、健康状態です。
住宅ローンには、団体信用生命保険(団信)への加入が必要です。
今は問題がなくても、数年後も同じ条件で加入できるとは限りません。
持病が見つかる。
通院が必要になる。
たったそれだけで、「借りられるはずだったローン」が一気に選択肢から外れてしまうこともあります。
さらに、自然災害の増加による影響も無視できません。
近年は、火災保険や地震保険の保険料が見直されるケースも増えています。
将来、同じ補償内容で、同じ保険料とは限らないのが現実です。
そして、物件価格に直結するのが建築コストです。
建築に係る人材不足、資材価格の上昇によって、新築住宅の価格は下がりにくい状況が続いています。
「もう少し待てば安くなるかもしれない」そう思っていたら、
気づいたときには同じ条件の物件が、より高くなっていたという話も珍しくありません。
時間は、必ずしも味方ではありません。
特に住宅購入においては、待つことでリスクが積み上がることもあるという点を、知っておいてほしいと思います。
家賃か、住宅ローンか― 数千万円の借金ではなく「毎月の固定費」で考える
住宅購入を考えるとき、どうしても「数千万円の借金を背負う」というイメージが先に立ってしまいます。
そう思うと、不安になるのは当然です。
けれど実際の生活の中で、私たちが向き合っているのは借金の総額ではなく、毎月の支出ではないでしょうか。
たとえば賃貸に住んでいれば、家賃は毎月、当たり前のように支払っています。
しかも、その支払いは何年続けても終わりがありません。
一方、住宅ローンも毎月決まった金額を支払うという点では同じです。
違うのは、いつか必ず支払いが終わるということ。
先ほどの例で見たように、頭金を入れた場合と入れない場合の差は、毎月数千円程度でした。
それなら、「総額」よりも今の家賃と比べて、月々いくらになるかで考えた方が、現実的な判断ができます。
また、返済額は無理のない金額で設定することが前提です。
生活を切り詰めてまで払う住宅ローンは、安心を得るどころか、新しい不安を生んでしまいます。
住宅ローンは、無理をしなければ家賃と同じ“固定費”として考えることができます。
「買うか、買わないか」ではなく、「この固定費を、いつから、どんな形で払うか」。
そう考えると、住宅購入は少しだけ、現実的で冷静なものになるはずです。
まとめ― 「いつ買うか」より、「どう考えるか」
住宅購入は、若いうちの方が有利な面が多いのは事実です。
返済期間を長く取れたり、将来の住み替えもしやすかったりと、年齢は大きな武器になります。
一方で、若いからこそ「年収がまだ低い」「この先どうなるかわからない」と不安になる気持ちも、よくわかります。
大切なのは、早く買うことでも、無理をして借りることでもありません。
今の収入と、これからのライフステージを見据えて、無理のない返済計画を立てること。
それができていれば、住宅ローンは過度に怖がるものではありません。
「今買うべきか、もう少し待つべきか」正解は、人それぞれ違います。
だからこそ、一人で悩まず、数字を整理しながら考えることが大切です。
今の家賃、年収、将来の予定。
それを踏まえたうえで、あなたに合ったタイミングとプランを一緒に考えます。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
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